高知県といえば、お酒好きの飲兵衛が多い県として知られています。

また、単に酒好きが多いだけでなく、高知県は日本酒の生産地としても有名で、創業数百年を超える歴史ある蔵元が数多くあります。

そんなお酒のイメージが強い高知県のソウルフードといえば、かつおたたき。地元高知県では日本酒を飲むときにも欠かせない存在です。

たたきに使うかつおは春と秋の2回旬がある珍しい魚で、春から初夏である3~5月の時期に獲れたかつおのことを「初鰹」といい今がまさに旬の時期。

脂が少なくクセもないさっぱりとした味わいが特徴の初鰹は日本酒との相性もとても良く、この時期の地元高知では定番の組み合わせです。

そこで今回の記事では、高知県における日本酒の文化にも触れながら、かつおのたたきにもよく合う地元で人気の日本酒の銘柄3選をご紹介していきます。

高知の日本酒文化
高知の日本酒文化

平安時代の書物である土佐日記に「土佐人は無類の酒好き」という記述があることから、高知県民には1000年以上前から「酒好き」というイメージが定着していたようです。

さらに、高知県には四万十川や仁淀川など日本酒づくりには欠かせない豊かな水源が多くあるため、地酒づくりは江戸時代から盛んであり、当時から高知の地酒は「土佐酒」と呼ばれる特産品として全国に流通していました。

昔から自然に地酒の消費量が伸び続けている高知の酒造りの製法は現在も発展し続けており、全国清酒品評会でいくつかの地酒が優等賞を受賞。

2015年には全米日本酒鑑評会で土佐酒がゴールド受賞率全国1位を獲得しました。

最近では、日本のみならず世界からも注目を集めはじめている高知の日本酒「土佐酒」。

ここからは、そんな数ある地酒の中でも地元民も特に愛する人気の銘柄3種を厳選し、詳しくご紹介していきます。

地元高知で大人気!特産の日本酒3選をご紹介
地元高知で大人気!特産の日本酒3選をご紹介

温暖な風土の中で、透き通るように澄みきった高知の水を基に造られる高知の地酒は、酒の発酵がよく進むこともあり端麗辛口なのが基本。

スッキリとしたのどごしと口当たりのよさに定評があります。

そして、居酒屋で特に人気のある高知の辛口地酒として挙げられるのが「久礼」、「船中八策」、「酔鯨」の3種です。

久礼
久礼

創業から200年以上続く「西岡酒造店」を代表する銘柄の一つである「久礼」。

「西岡酒造店」は、高知県の中西部に位置する「かつおの一本釣り」で有名な中土佐町久礼で、天明元年(1781年)から酒造りを続けてきた老舗の蔵元です。

蔵内にはギャラリーを併設しており、高知の日本酒造りの歴史を今に伝える貴重な存在となっています。

高知県の地名をお酒の名前にするなどこだわりの強い酒造りが特徴です。

酒米は自然栽培した酒造好適米である高知県産の「吟の夢」を中心に、四万十川源流の地下湧水を仕込み水として使用。

高知ならではの自然の恵みを感じられる地酒の「久礼」は、程よい酸味とフルーティな香りのなかにしっかりとしたコクとキレがあります。

他にも「久礼」には少量生産の限定酒もあるのですが、精米歩合やアルコール度数、酒米などが異なるため、さまざまな味わいが楽しめます。

かつおが有名な地方で一緒に親しまれてきた久礼は、後味もすっきりとしていているため、かつお本来の旨味をしっかりと感じさせてくれるお酒です。

船中八策
船中八策

各界の著名人らにもファンが多く、日本全国のみならず今や海外でも人気を集める特別純米酒。

「船中八策」を造るのは、慶長8年(1603年)創業で400年以上続く県内屈指の歴史をもつ「司牡丹酒造」。

その酒名は、高知県出身の幕末の英雄「坂本龍馬」が明治の新政府のあり方について、船中で考え提唱した八ヶ条の策に由来しています。

仁淀川水系の湧水を仕込み水にして醸す船中八策の味わいは、抜群のキレが特徴の「超辛口」。

また、上品で自然な香りが鼻を抜ける特徴も併せ持つことから日本酒初心者でも飲みやすく、発売以来約20年以上にわたって全国から問い合わせが殺到している逸品です。

日経新聞「お燗酒コンテスト」では、有名銘柄だらけの中で珍しい超辛口として2位に輝き、「全国新酒鑑評会」では5年連続で金賞を獲得している「司牡丹酒造」を代表する銘柄といえます。

あっさりとした香りと抜群の切れ味、両方のバランスが良い船中八策は、食中酒として冷やや常温、お燗でも楽しめ、どんな料理と合わせても料理本来の美味しさを引き立たせてくれます。

薬味を山盛りに添えてタレをたっぷりとかけたかつおのたたきとの相性も抜群。

癖がなく喉ごしのいい船中八策は、かつお本来の脂の旨味と「藁焼き」の藁のほのかな香りをより一層引き立たせてくれます。

酔鯨
酔鯨

全国的にも名前が知られており、皆さんも飲食店やリカーショップで一度は目にしたことがある高知の地酒ではないでしょうか。

南国土佐を代表するお酒の「酔鯨」を造る「酔鯨酒造」が創業したのは明治5年(1872年)。

高知県の観光スポットとして有名な桂浜の近くにあり、現在では高知市内における唯一の蔵元です。

公式サイトにも記載されているように、国内のみならず世界の主要都市で日本酒のイベントを開催するなど、高知の日本酒文化を積極的に世界へと発信しています。

「酔鯨」とは、大酒のみの土佐藩主として知られる「山内容堂」が、自身と詩を書く際の雅号を「鯨海酔候(げいかいすいこう)」と名乗っていたことに由来するのだそう。

製造にあたっては、酒造好適米をブランドすることなくそれぞれの特性を活かして、ひとつのお酒には1種類の酒米のみを使用。

酒米の素材の良さを引き出すために、精米歩合を55%まで磨いているので、それぞれの酒米がもつ味の違いをストレートに楽しめるのも特徴です。

仕込み水には、市街地から離れた山間地にあり、生活排水などに汚染されていない綺麗な水を取水できる鏡川源流域の高知市土佐山(旧土佐山村)の水を使用します。

そして、より繊細な管理を可能にするために少量仕込みとし、麹もしっかりと造り込む、伝統的な製法と徹底した温度管理のもとで市場に送り出されます。

さらりと飲めて、一本芯の通った味の酔鯨は、フレッシュな香りとしっかりしたコクをもち、特有の酸味とキレを感じられる味わい。

日本酒に不慣れな女性にもオススメです。

また、食中酒が基本の高知の日本酒らしく後口もキリッとしているので、こってりした料理でもあっさりといただけます。

そんな「酔鯨」と相性のよいかつおのたたきの食べ方といえば、粗塩をふってニンニクや大葉などの薬味や、ゆず酢をつけて食べる塩たたき。

タレで食べるよりもかつお本来の旨味が際立つ食べ方なのですが、キリッとした飲み口の酔鯨は、かつおの旨味を邪魔することがないため、心地よく食べ進めることが出来ます。

「久礼」、「船中八策」、「酔鯨」の比較表

久礼 船中八策 酔鯨
タイプ 辛口・純米酒 超辛口・特別純米酒 辛口・特別純米酒
酸度 1.8 1.4 1.7
アルコール分 15.6度 15.5度 15度
日本酒度 +10.0 +8 +7
精米歩合 60% 60% 55%

高知の地酒を飲むときはかつおのたたきと共に
高知の地酒を飲むときはかつおのたたきと共に

本記事では、高知の居酒屋で人気のかつおのたたきによく合う日本酒3選をご紹介しました。

かつおのたたきには色々な食べ方がありますが、高知の地酒にもぞれぞれの特徴があり料理との相性や飲み方も様々です。

また、それぞれのお酒の歴史を知って食べていただくことで、味わいだけでなく、脈々と受け継がれる高知の息吹までをも感じていただけるかと思います。

おいしい高知の地酒と一緒に、今が旬の初鰹を使ったかつおのたたきを是非楽しんでみてください。

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