日頃より、門田道場のカツオの藁焼きたたきをご愛顧いただきまして誠にありがとうございます。
気がつけば、前回のブログ更新から約1年が経っておりました…。
ブログの更新こそ滞ってしまっておりましたが、その間も門田道場のスタッフは元気に日々藁とカツオに向き合っておりました。
おかげさまで変わらずたくさんのお客様にご注文いただき、特にこの1年は目まぐるしい忙しさのなか、スタッフ一同うれしい悲鳴をあげながら毎日を過ごしておりました。
うれしいことに、リピーターのお客様もどんどん増えています。
ご注文情報で馴染みのあるお名前を確認するたびに、私たちの喜びもいっそう高まります。
また、SNS上では「門田道場のカツオのたたき美味しかった」と報告してくださる投稿もちらほら見かけています。「お一人でのんびりと晩酌されているのかな」「お子さまたちとワイワイ食べているのかな」などと勝手に想像をふくらませながら、スタッフみんなで拝見することが楽しみのひとつです。
さて、今回は久々の更新ということもありますので、まずは初めてブログをご覧になる方にも、リピーターの皆様にもあらためて門田道場を知ってもらえるよう、当店のこれまでの歩みを振り返ってみようと思います。
Contents
コロナ禍から抱き続ける「本場高知の味を届けたい」という想い
門田道場がオープンしたのは2021年。
当時はちょうどコロナ禍の真っただなかで、自由に旅行したり帰省したりといったことがままならない日々が続いていました。
日本中に閉塞感が漂っていたなか、私たちは「本場高知のカツオの藁焼きたたきの味を全国の方々に手軽に届けたい」という気持ちや、高知に帰省できずにいた地元の方々や高知旅行を諦めざるをえないという方々の、心の隙間を埋めたいという想いを原動力にしてオープンに至りました。
私たちの想いは少しずつながら全国に届くようになり、北海道から沖縄までさまざま地域の方々に門田道場のカツオの藁焼きタタキを味わっていただくことができたものです。
積極的に注力してきた商品開発や飲食店とのコラボレーション
その後は商品開発にも力を入れ、2022年には「藁焼きセット付き」の商品も登場しました。
これは、カツオのたたきに加えて本物の藁をセットにした商品。「庭やキャンプなどで本格的に藁焼き体験ができる」とアウトドア好きの方々を中心に好評をいただいています。
さらに昨年の2024年からは、おもに飲食店様向けに大容量の「業務用商品」の販売もスタートしました。
もともとは「業務用」として販売を開始したものの、フタを開けてみると意外にも個人のお客様からのご注文も多く、「自宅にたくさんストックしておきたい」という“門田道場愛”にあふれる方々の熱量にスタッフ一同驚きと喜びに包まれています。
また、昨年からは飲食店さまとのコラボレーションも本格的にスタートしました。
ハワイ発祥の人気メニュー「ポキ丼」を提供している「SCALES(スケール)」では、門田道場のカツオの藁焼きたたきを使ったオリジナルメニューを開発していただきました。
高知県産のゆずを使った、爽やかなソースをかけた「カツオポキ丼」は、海の香りと藁の香ばしさ、そして柑橘の酸味が絶妙にマッチした秀逸な味わい。生野菜がふんだんに盛られたヘルシーなメニューでもあるので、特に女性のお客様から人気を得ているようです。
今後も、こうした異業種・異文化とのコラボレーションも考案しながら、高知のカツオの藁焼きたたきの新しい魅力を引き出していきたいと考えています。

SCALES北浜店人気メニューのカツオごまわさび
たくさんのお客様との出会いを今後の挑戦の励みにする
こうして振り返ってみると、オープンからの数年間にわたり門田道場はたくさんのお客様と出会い、少しずつ進化してきたことをあらためて実感します。
カツオの藁焼きタタキを販売する通販サイトは多数あるため、正直に言えば「本当に売れるのか・・・」という不安もありました。
ですが、ひとつひとつ丁寧に藁焼きをしたカツオを、心を込めてお届けするうちに、お客様からは「また食べたい」「今度は実家に送ります」などの声が届くようになり、今ではその輪が大きく広がったことが何よりの励みとなっています。
「もっと多くの人に高知のカツオの藁焼きタタキの味を知ってもらいたい」
「ポキ丼のような、新しい食べ方を提案したい」
「ご家庭の食卓に、ちょっとした“非日常”を届けたい」
そんな想いを胸に、門田道場はこれからも挑戦を続けていきます。
高知県が「カツオの県」として知られる2つの主な理由
ところで、「カツオと言えば高知県」といわれていますが、どうして多くの方がそう連想するのか考えてみたことはありますか。
高知県はカツオ料理の豊富さでも知られ、県内外にその名を広めているのは確かですが、意外にも高知県はカツオの漁獲量では全国4位。1位である静岡県の4分の1ほどで、日本全体の約8%程度に過ぎません。
高知県がこれほどまでに「カツオの県」として認識されている理由のひとつには、漁法の違いと消費量の多さという2つの大きな要素があります。
高知県における主な漁法は「一本釣り」と「ひき縄漁」です。
海面に餌を撒き、寄ってきたカツオを釣り針で一尾ずつ釣り上げる手法で、効率性よりも魚の品質保持を重視した伝統的な漁法です。
それに対して、他県では「巻き網漁」が主流です。カツオの群れを一度に網で包囲することによって大量漁獲が可能となる反面、魚が網の中で擦れることによって品質が低下する場合もあります。
高知県の漁法は効率こそ高いとはいえないものの、魚体を傷つけずに水揚げするため、高い鮮度と品質を保つことができます。また、「漁獲しすぎない」持続可能な漁業ともいえ、資源保護の観点からも優れています。
もうひとつの理由が、カツオの消費量です。
高知県はカツオの一人当たり消費量が全国1位。2位の福島県に2倍以上の差をつけているわけですが、この消費の多さが全国から質の高いカツオを集める背景となっており、「高品質なカツオが集まる場所」としての地位を築いています。
漁獲量ではトップの静岡県などには及びませんが、品質へのこだわりと地元の方々の深い愛着によって、高知県はカツオ文化の中心地としての存在感を保ち続けています。
2025年、今年のカツオの漁獲状況や味わいは?
では、今年の高知県のカツオの漁獲状況や味わいはどのようなものなのでしょうか。
カツオには春と秋の2回に分けて旬が訪れますが、現在は春の旬である「初ガツオ」のシーズン中。門田道場でも、3月から6月にかけては毎年恒例の初ガツオを取り扱っています。
ちなみに初ガツオとは、春に黒潮に乗って北上してくるカツオ。反対に、秋になると南下してくるのが「戻りガツオ」とよばれます。
初ガツオといえば、スリムな体にさっぱりとした味わいが特徴で身質は引き締まり、脂は控えめ。ネギやミョウガ、生姜、大葉などの薬味との相性が抜群であるため、タタキでいただくとそのまろやかな味わいを楽しめるものです。
一方、 2025年の高知県の初ガツオはというと脂の乗りが明らかに良いと感じています。
これは昨年と似た傾向ですが、さらに顕著になっている印象があります。例年ならば、脂が少なくさっぱりとした春のカツオに対して、脂がしっかりと乗っているため、まるで秋に獲れる「戻りガツオ」に近い濃厚な味わいになっています。
しかも例年であれば、5月頃の水温の上昇につれて脂はだんだんと落ちていく傾向にありますが、今年の市場の様子を見る限りでは、5月の半ばを過ぎた今も脂が豊富な個体が多く見受けられます。
これは漁場の環境や水温の変化が関係していると考えられますが、いずれにしても嬉しい“想定外”だといえる状況です。
脂が乗って濃厚とはいっても、決して味にくどさは感じられません。
しっとりとした口当たりと、噛めば噛むほど広がる脂のコク。藁焼きタタキに仕上げることで、表面の香ばしさとコクが絶妙に調和した味わいを楽しめます。
仕入れ原価や製造コストが上昇しても値上げは見送る姿勢
嬉しい“想定外”の春ではありますが、全国的にみるとカツオの漁獲量は減少傾向にあり、それに伴って仕入れ価格は高騰しています。
背景としては、漁船を動かす燃料費の高騰をはじめとしてさまざまな経済的事情があります。
飲食店や鮮魚店などではカツオの価格を上げざるを得ないという動きがチラホラとみられるのも事実。品質を保ちつつ、経営を維持していくためには、どうしても必要な選択だと思わずにはいられません。
しかし、私たちは今年も価格据え置きでこのカツオの藁焼きタタキを提供していく予定です。理由はやはり「高知の本場のカツオの藁焼きタタキを、より多くのお客様に楽しんでいただきたい」という一心のみ。
確かに仕入れ原価は上がっていますし、藁焼きタタキの製造におけるコストの上昇もあります。
ただ、今はそれ以上にこの脂が乗った初ガツオを食べてほしいという想いがありますし、春の旬の味わいを皆様にぜひ体験していただきたい。私たちは日々、仕入れにも製造にも妥協することなく、カツオの藁焼きタタキを最高の状態でお届けできるよう努めています。
本格的な夏が到来する前に、春のカツオの味わいを堪能してほしい
ここで、藁焼きタタキ製造におけるちょっとしたこだわりについても紹介します。
門田道場ではカツオの味と脂の乗りを最大限に引き出すため、カツオの個体ごとに包丁の入れ方に工夫を重ねているのです。
個体に合わせて丁寧に切り分けるからこそ、皮目を炙ると香りがよく立ち、口の中でとろけるような質感に仕上がります。ポン酢はもちろん、ゆず塩との相性も抜群ですのでお好みの味付けで味わっていただきたいです。
季節はこれから、春から初夏へと向かいます。
初ガツオのシーズンも後半に差しかかっていますが、まだもう少しの間位はこの“当たり年”の味を楽しんでいただける見込みです。
本格的に夏が到来すれば水温は上昇し、脂の乗りは落ち着くことかと思います。
その前に、ぜひこの春の特別な味わいをご堪能ください。